渡部悦和

AIは、戦場における指揮官を手助けし、その状況判断を正確かつ迅速にすることができる。AIはまた、ウォーゲーム、シミュレーション、サイバー戦や電子戦への適用、AIが仮想現実の技術と合体すると訓練・演習をより実戦的にすることもできるなど適用分野は軍事の大部分にわたっている。また、AIは、ロボットやドローンなどの無人機の頭脳となることにより、「自ら認識し判断し決心し行動する」自律無人機を可能としている。 例えば、中国の国営企業である「中国電子科学研究院」は、2017年6月、119個の小さなドローンの群れによる自律協調飛行テストに成功した。このテスト成功は、安いドローンで高価な兵器例えば空母などを群れで攻撃することが可能になることを示している。 中国の専門家は、AIと自律無人機が普及すると、「戦場におけるシンギュラリティ」が到来すると予想している。このシンギュラリティに達すると、AIが可能にする戦闘のスピードに人間の頭脳が追随できなくなる。このことは、AIが指揮する無人機システムに戦いの大部分を任せ、軍人を戦場から解放することを意味する。そのような転換点は、はるか先のことのように思えるが、AIによる自動化の方向に急速に向かっている。